【LA観光事情】映画『セブン』衝撃のラストシーンのロケ地、Lancasterに行ってきた

LA観光

※作品のネタバレを含みます。未鑑賞の方は自己責任で読んでください。

自分が明日、撃ち殺されるとわかったら、今晩何の映画を観るだろう?

そのシチュエーションなら私はデヴィット・フィンチャー監督作品の映画『セブン』(1998)を選ぶ。

退任が1週間後に迫った老刑事サマセット(モーガン・フリーマン)とその後任刑事のミルズ(ブラッド・ピット)が、「七つの大罪」になぞらえた連続猟奇殺人事件を追うサスペンス。

猟奇殺人事件がメインなので、当然、あまり後味の良い映画ではない。というか最悪に属する部類だと思う。でもその後味の悪さがクセになって、衝撃のエンドシークエンスを何度もYouTubeで観てしまう。

ラストシーンの一連の流れだけ簡単に説明しよう。

サマセットとミルズがあと一歩のところまで追い詰めていた猟奇殺人事件の犯人ジョン・ドゥ(ケビン・スペイシー)が、ある日突然自首してくる。その姿はなぜか血だらけだった。

取り調べを進める中で、ジョンに付着していた血はジョンのものでないことが判明。そして7つの大罪になぞらえていると推理されていた殺人事件にもかかわらず、「憤怒」と「嫉妬」の事件がまだ遂行されていなかった。それらのことを問いただされたジョンは「物語を終わらせる手がかりがあるので、何も聞かずに指定の場所に連れて行ってほしい」と要求。サマセットとミルズはジョンの指示に従い、町外れの荒野にある送電所に向かう。

一行が目的地に着いてしばらくすると、宅配便のトラックがやってきた。配達人はジョン・ドゥに依頼され、ある箱を届けるためにここに来たという。警戒しながら箱を開けるサマセット。ミルズはジョン・ドゥに銃を向けながら、離れた場所からその様子を見守っていた。

サマセットが箱を開けると、そこにはミルズの妻(グウィネス・パルトロー)の頭部が入っていた。サマセットは大急ぎでミルズたちの元へ走る。サマセットはジョン・ドゥの目的が、憤怒に駆られたミルズに自らを殺させてこの猟奇事件の幕引きにすることだ、と勘付いたからだ。

一方サマセットが走ってくる様子を見ながら、ジョンはミルズに独白し始める。「君の綺麗な奥さんと平凡な家庭に嫉妬してしまった。私も罰を受けるべき罪人だ」と。

何の話をしているのか分からず情緒不安定になるミルズ。「どうして今、妻の話をし始めるのか」とジョンを問いただす。サマセットも到着し、ミルズに落ち着いて銃を置くよう説得する。ミルズは「箱に何が入っていたんだよ!」と叫ぶが、サマセットは気まずい顔を浮かべ、銃を置くように、としか答えない。

そんな中ジョンの独白は続く。「君の妻は命乞いしていたよ、お腹に新しい命が宿っている、とね」これを聞いたサマセットは思わずジョンをビンタ。そのサマセットの反応にミルズはさらに狼狽する。老刑事サマセットはミルズの妻の生前に相談を受け、彼女の妊娠を知っていた。一番果報を喜ぶべきミルズだけ、妻の妊娠を知らされていなかったのだ。

状況が理解できないミルズの顔を見たジョン・ドゥは、ニタァと笑って「Oh, he didn’t know」と漏らす。(ここが私の一番好きなシーン!

その後に続くミルズの困惑と悲しみが交互に訪れる表情もたまらない。私もマネしようとしたがうまくできなかった。主演の3人、本当に演技のうまい、良い俳優さんたちだ。

ラストも後味の悪さを加速させていく。ジョンに銃を向けたり下げたり、葛藤を続けるミルズ。そんな時、サブリミナル効果で一瞬だけ挿入されるミルズの妻の美しい顔。それがミルズを後押しし、ジョン・ドゥの頭に何発も銃弾を打ち込んでしまう。

刑事でありながら激情に駆られ、犯人を殺すという罪を犯したミルズは警察に搬送される。ジョンは「嫉妬」、ミルズは「憤怒」として一連の猟奇殺人事件のピースを埋め、ジョンの計画犯罪はここに成功したわけだ。本当に絶望しか残らない結末。

こんな映画なのだが、好きが止まらない。悪趣味だとも思うが、最後のこのシーンが一番好きだ。ミルズの妻の顔が一瞬だけ映るサブリミナル効果の演出は、映画オタク酔狂のガン=カタ ムービー『リベリオン』でもオマージュされている。それくらい伝説の手法として受け継がれているので、世界中に私と同じ悪趣味人間がいるということだろう。いつかみんなと酒を酌み交わしたい。

こんなふうに一人、映画についての熱い思いを巡らせていると、一つの可能性に行き当たった。ちょっと待てよ、私は今ロサンゼルスにいるけど、もしかして『セブン』の撮影場所近いんじゃない?

ノリノリで検索すると、ロサンゼルスは『セブン』のロケ地の宝の山。ロサンゼルスの町中でしょっちゅう通る場所までロケ地だった。(映画の都なので当たり前か。)

私の一番好きな最後のシーンで使われた送電所も、足を伸ばせば行ける範囲だったので、ドライブがてら行ってみることにした。

映画『セブン』のロケ地

ロサンゼルス市街地から山を超え、車でひた走ること約2時間。Lancaster近郊にその送電所があった。

確か映画では、この送電所からさらに車を走らせていたから、この辺かな…?と思しき場所で正確なロケ地探し開始。

宅配便を受け取り、中身(ミルズの妻の頭部)を確認したサマセットが慌ててミルズとジョン・ドゥの元へ走る時に横切った道がある。

その道が、多分これだ。

何せ1995年に公開された映画なので、だいぶ変わっているかもしれないな、と思いながら行ったが、驚くべきことにほとんど何も変わっていない(ように見えた)。

今年は雨が多かったので、幾分緑が多く感じる程度だ。

大体のロケ地の目安はついて、YouTubeで最後のシーンを何度も再生しながら画角検証するが、ここ!という場所がなかなか見つからない。

というか、有名な映画の一番有名なシーンのロケ地なのに、なんの標識も立っていない。ガルパンの大洗町を見習えよ!

そして映画では分からなかったが、送電線を通る電気の音がずっとブーーーーーーーンと鳴り響いていて、不気味な雰囲気がある。気がつけば、電気風呂に入った時みたいに、ゾワゾワっと鳥肌が立っていた。多分、送電線の真下にいると電気を感じ取ってしまうのだろう。あの映画に似つかわしい気味の悪い現象だ。

あたりを見渡すとには元農家らしい売家もポツポツある。どこも人が住んでいる様子はない。かつてどこかの家で『セブン』の撮影クルーや俳優たちが休憩したり衣装直ししたりしたのかな、と思いを馳せてみる。

感電しないかビクビクしながら荒野を進む私の足下を大量のバッタが跳ねていく。これも映画では分からなかった事実だ。忌々しそうな顔でバッタを踏むケビン・スペイシーが容易に妄想できる。

そしてついにそれっぽい場所を発見!

もうちょっと正確な写真を撮りたかったが、多分この辺で間違いないと思う。写真で見ると分かりずらいが、後ろの山の地形も一致している。

私は犯人役のケビン・スペイシー推しなので、撃ち殺される時のポーズを取った。不謹慎ながらめちゃくちゃ楽しかった。ちゃんと「Oh, he didn’t know.」と言って、ニタァと薄ら笑いを浮かべておいた。

オタク心に火がついて色々な角度から膨大な数の写真を撮ったが、一番よく撮れたのはこちら。

送電塔とブラピ(a.k.a 夫)!

ブラピも同じ角度で写真を撮ろうとしてくれたのだが、作品への愛が足らなかったようで、出来がいまいちだった。

それにも増して、変な色の服とオバ手袋をつけている私も世界観を台無しにしている。

なにはともあれ、不気味な音が鳴り響くバッタだらけの荒野で、良い大人二人して、はしゃぎまくって帰ってきた。近隣住民が皆どこかへ引っ越してくれていたのがせめてもの救いだ。

この後帰宅し、まんまと『セブン』のデータを買いましたとさ。

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